冬の十和田湖で歩いて、遊んで、温まる。

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冬の東北だからこそ、心ゆくまで雪景色を全身で感じたい。十和田湖の西湖畔では、ただ観たり滑ったりするだけでない、独自の雪の楽しみ方があるという。

今回は冬の十和田湖をまるごと楽しめる1泊2日の旅を提案する。十和田湖西湖畔のスノートレッキング、かまくらBARときらびやかな花火が人気の冬祭り「十和田湖冬物語」、そして炉端焼きと温泉が楽しめる十和田湖畔の旅館を紹介したい。

【十和田湖の雪景色の見頃はいつ?】

秋田県の最北部に位置する十和田湖は、多いときには2メートル以上もの積雪量がある。
11月から雪が降り始め、12月になると積もり始める。2月、3月は一面が真っ白の世界に覆われ、4月に解けてゆく。
やはり訪れるなら雪の豊富な1月から3月、その中でも雪が固まり雪崩などの心配が低い3月上旬が理想的なシーズンだと地元ガイドは勧めている。

十和田湖ブルーと呼ばれる湖面の色は、冬ならではの色の移ろいを見せる。日差しとともに琥珀色に輝いたり、曇天の日には鉛色に淀んだり、流氷のように浮かぶ氷が銀色に輝いたり。真っ白い雪で囲まれた空間に佇む湖水は、巨大な鏡面のように見るものの心を映し出す。ゆらめく波面と光の反射に、自分だけの色を見つけられるかもしれない。

【冬だけの秘密の雪散歩】

大空を自由に飛ぶ渡り鳥のように、雪の降り積もる大地を自由に闊歩する体験はいかがだろう。西湖畔のスノートレッキングでは、ガイドと必要な装備が現地で準備されている。気軽に冬の十和田を冒険することができる。

雪は、全てを真っ白に塗り替えるだけでない。そこに新たな道を築きもする。雪の上の道なき道を自由に歩いて、気の向いた場所から十和田湖を眺められる。樹林の間に広がる雪のキャンバスに、一人だけの足跡を描いていく。

トレッキング前はまず「樹恩の鐘」付近に駐車して、レンタルしたポール・長靴・スノーシューを装着する。ポールは脇の高さに調整しよう。冬の十和田湖はマイナス10度前後まで冷えるため、帽子と手袋は忘れずに用意しよう。傾斜が急な箇所があるので、ガイド付きの散策をお勧めする。

歩きはじめると、キュッキュッと雪を踏みしめる音が心地よい。辺り一面の白模様に、さまざまな景色が見え隠れしている。大空を舞う渡り鳥のように、ただこの広大な雪の上を自由に探検するのもいいだろう。今回は、冬のスノートレッキングをさらに楽しむコツを、現地ガイドに聞いてみた。

まずは、雪と湖面が作り上げる作品に目を向けたい。木の幹からハープのような連なりを魅せるつらら、降り落ちた雪が流氷や雲海のように複雑な広がりを魅せる水際、木々からこぼれ落ちる雪が生む静かな波紋、そのどれもが儚い彫刻のように、見る者の心を奪う。

さらに上を見上げると、雪を装った木々の枝が、それぞれ独自の踊りを見せている。普段あまり気にしない木の種類の違いが、模様にはっきりと現れる。豪快なもの、おしとやかなもの、挑戦的なもの…それぞれの植物の隠れた性格を見つけたような気分になる。

観察を続けると、落ち損ねた松ぼっくりや、春に向けて蕾を温める桜など、ちょっと季節から外れた植物たちが見つかるのもおもしろい。自分だけの秋の忘れ物や春の兆しをこっそり撮り集めるのもいいだろう。

雪の重みは想像するよりも足腰に効いてくる。あまり無理せず、1〜2時間ほどで切り上げるのも楽しむコツと言えるだろう。

ガイドの手配先:
十和田八幡平観光物産協会
WEB:https://www.ink.or.jp/~kankou18/

TEL:0186-23-2019
※1週間前までに要予約

スノーシュー等貸出:
WEB:http://nakataki.kazuno-furusato.jp/
TEL:0186-30-4021
中滝ふるさと学舎
MAP:https://goo.gl/maps/xsLZE9p3JSqUsQHZ8


十和田ビジターセンター
WEB:http://www.env.go.jp/park/towada/guide/towadavc/index.html
TEL:0176-75-1015
MAP:https://goo.gl/maps/vrc7WxHG8eF4XWeH6


駐車場:
樹恩の鐘付近
MAP:https://goo.gl/maps/JxtDwjLNvbTUqUa69

【北東北一の冬祭りで遊ぶ】

冬の十和田湖の自然を静かに堪能したら、今度は北東北最大の冬祭りを楽しもう。
「十和田湖冬物語」は例年2月に約1か月間開催され、特設のかまくらBAR、スノースライダーやバナナボート、B級グルメの屋台村、冬花火などと、盛りだくさんのラインナップである。

ライトアップされた雪の舞台に嬉々として集う人々の姿は、まさに冬の物語そのもの。子ども連れの家族や友人同士、デートのカップルと誰でも楽しめるお祭りになっている。

特に人気なのは、地元の人達が毎年手作りしているという巨大かまくらで開店されるバー。店内はカウンターからグラスまで、全てが雪と氷で作られている。氷のグラスに注がれたカクテルが祭りのイルミネーションに照らされると、冷めた身体がほっこり温かく感じられる。

イベント期間中毎晩打ち上がる冬花火は、白銀の夜を鮮やかに照らし出す。忘れられない冬の思い出として、記憶を彩るに違いない。

十和田湖冬物語
WEB:https://www.facebook.com/towadakofuyumonogatari/
TEL:0176-75-1531(十和田湖冬物語実行委員会)
MAP:https://goo.gl/maps/y2AwtTGfPHdp3JQc7

【冬の夜を温める、炉端焼きと温泉】

長い一日に疲れた身体は、香ばしい炉端焼きと少し熱めの温泉でほぐしてあげよう。十和田ビジターセンター近くにある旅館「山乃御振舞(やまのおふるまい) とわだこ賑山亭」は冬祭りへ送迎バスも出しており、冬の十和田湖を満喫するにはぴったりな宿だ。
どこか懐かしい和モダン調の室内では、旅行気分を味わいながらも居心地良く休むことができる。

ここでは本格的な炉端焼きを提供しており、日本海・陸奥湾・北三陸と三方の海の幸が新鮮なまま味わえる。素材の旨味を引き出すために、炭にもこだわりを見せる。様々な炭を使ってきて辿り着いたハネにくい炭を、岩手県九戸まで2時間かけて仕入れに行く。

この日の主役は陸奥湾のホタテ、肉厚な身から滴る汁が食欲をそそる。またお米を飼料に育てられる地域特産の「桃豚」ポークは、柔らかな肉質だけでなく、SPF認定付という「安全」も魅力だ。

満たされたお腹で向かう温泉は、ナトリウム質の中性で、さらさらとした熱めのお湯が身体に効く。浸かりながら窓の外の雪に目をやると、長い一日の思い出が呼び起こされる。

山乃御振舞(やまのおふるまい) とわだこ賑山亭
WEB:http://www.shinzantei.co.jp/
TEL:0176-75-2711
MAP:https://goo.gl/maps/HQzwcjrHjMKao8dV7

この旅館のとなりにも、温泉が楽しめる「とわだこ遊月」がある。
こちらの旅館には露天風呂があり、雪見風呂を楽しむことができる。

とわだこ遊月
WEB:http://www.towadako-yugetsu.com/
TEL:0176-75-2501
MAP:https://goo.gl/maps/1UaJnkC6ukRJJBAW9

東北の冬でしか体験できない、雪の楽しみ方と冬の暖かさ。ひっそりと白化粧を装った十和田湖西湖畔では、自分のペースでのんびりと雪景色と対話することができそうだ。

自然散策・祭りのエンタメ・食と温泉と、三拍子揃った冬の十和田湖。寒さの中にある美しさを、ぜひ体感してみていただきたい。

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