「いっそ徹底的に日本語で話すことにした」 – となりの羽後人 #01

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ここ数年、外国人の出入りが活発になってきている羽後町。そんな中「おとなりのあの人は、どうやって外国人を受け入れたんだろう?」という素朴な疑問を、地域の人々の体験談やインタビューを通じて探っていく隔週連載シリーズ。
記念すべき第1回は、農家民宿「かやぶき山荘 格山」のお料理を作っている阿部祥代(さちよ)さんのお話を伺いました。
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それではよろしくお願いします
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改めてお話しできることなんて、本当に何もありませんけども

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いえいえ、何気ないおしゃべりの中に、面白い発見がありますから。
まず、初めて外国の方を受け入れて困った出来事ってありますか?
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初めて違う食文化に出会って困ったのは5年前。ドイツからの体操選手を我が家に受け入れたの。そこに、ベジタリアンの子が一人いて、「スポーツやってるのに!」ってびっくりして

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へええ
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それで頑張って大豆ハンバーグとか作ってみたんだけども、あまり食べてくれなくて。朝食でも、卵も納豆もだめ。ごま塩だけかけて食べてて、本人は「大丈夫」って。でも不憫だった。

2014年8月に受け入れた、ドイツの体操選手たちと共に。左から3人目が阿部祥代さん

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ちょっと悲しくなりますね
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そのあと本当に困ったのは、初めてグルテンフリーの人に出会ったとき。それまで市販の醤油に小麦粉使ってるなんて知らなかったの。ベジタリアンの人には「肉と魚使わなければ大丈夫」って思ってたけれど、実は出汁とかにも鰹や煮干しや入ってるものね。そういう経験を何度もしてきて、今ではもう誰がきても大丈夫だと思う。

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食事以外にも困った出来事ってありますか?
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うーん…本当に今まで困ったのは、食事だけ。会話は、本当になんとかなるもんなんだね。田舎までわざわざ来る外国の方は、心構えがあるし。むしろ、日本人の方がかえって「こんな古民家に泊まれない」とか「個室にトイレがないのが嫌」とかいう人が多い気がする

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たしかに、わざわざ秋田まで足を運んでるくらいですもんね
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もちろん初めは英語を学ぼうとしたけど、もう全然で。それからは、いっそ開き直って徹底的に日本語で話すことにした。でも、本当にそれだけでなんとかなるもんなんだね。どうしても困った時だけ、スマホを使えばいいもの

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外国の方にとっては、日本語のコミュニケーション自体が体験ですものね
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それで色々なお客さんが、『ここの風景が良いんです』って言ってくれた。初めは「どこがいいんだろう」って思ってたけど、そうやって皆さんの言葉を聞き続けてるうちに、わざわざ外に出かけなくてもこの地域の風景で満足するようになっちゃった

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外から見た、ここの地域の価値に気づいてきたんですね
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格山を始めてから、最初の方は「この人たちはなんて贅沢な人たちなんだ」と感じていたけれども、次第にそういう気持ちもなくなっていった。いろんな外国から人が来て、世界のいろんな話を聞くだけで満足しちゃってる自分がいる。外の風が、自分に入ってくるのが、わかるよね。それがグリーンツーリズムのすごさだと思う。


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どんどん新たな風が羽後町に吹くといいですね。短い時間でしたが、本当にありがとうございました!
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いえいえ、こちらこそ

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