2018年度、町のしごと改革の一環で「羽後町国際交流推進事業」として、様々なプロジェクトを実施しています。その第一弾として、4月始め〜5月末までの2ヶ月間、タイにあるカセサート大学の学生を長期間受け入れるプロジェクトを実施しました。4ヶ月間羽後町に滞在した学生は、本名がマンゴンソンタマパさん、通称アダムと言い、カセサート大学の4年生です。カセサート大学は、タイで初めて「農学部」を設けた大学で、国内で数万人の学生を抱えるタイで最も有名な大学の一つです。アダムさんは、厳密には2018年1月末から羽後町入りしていて、2月に開催された「羽後町留学」にも参加しました。本事業の期間外を含めると約4ヶ月間、「日本とタイの農業の違い」を、様々な体験を通してレポートにまとめるというミッションを持って過ごしました。
2月前半は、台湾から来た学生と一緒に「羽後町留学」のプログラムを10日間体験しました。三輪小学校での日本語授業や、中央公民館での西馬音内盆踊りレッスン、かやぶき山荘格山でのそば打ち体験など、様々な場所で、羽後町の生活を楽しみました。
羽後町留学終了後の2月後半は、羽後町の代表的な野菜の一つである「ふくたち」の農家さんにお世話になり、ふくたちの収穫やパック詰めなどの手伝いをさせていただきました。そのほか、オクラの栽培にも携わらせてもらいました。
3月に入ると、上旬はにらを取り扱っている農園にお世話になり、にらの収穫やパック詰めなどを手伝わせていただきました。にらの選別やパック詰めをする機械などを見学し、タイにはないものばかりで終始驚きを隠せない様子でした。
3月の中旬は、町内の畜産場の見学および手伝いを少しさせていただきました。飼育している牛の想像以上に頭数の多さに驚いていました。また、その畜産場では他にも海外からの外国人を雇用していることも聞き、働く環境や生活拠点等についても興味深く質問をしていました。
3月後半は、高校生との交流が多い期間でした。まずは、羽後町役場からの紹介で「増田高校」の農業科学科にお邪魔し、ビニールハウス内で行なっている水稲栽培などを見学しました。タイでは、基本的に屋外で農業を行うことが多いため、アダムさんはビニールハウスなど屋内で行う農業に興味津々でした。また、「羽後高校」の生徒会の方々との交流会も実施しました。お互い、英語での自己紹介から始まり、英語を使ったコミュニケーションゲームや日本のお菓子を紹介しながらのおやつタイムも行いました。アダムさんは、日本の和菓子に初挑戦し、日本のスイーツは小豆を使ったものが多いことに驚いていました。
4月になり、オクラの収穫などの農作業は引き続き行うと同時に、中旬にはまるまる1週間、羽後町仙道地区の農家にホームステイをしました。ビニールハウス作りを手伝ったり、自家菜園の手入れを協力したりと、農家の日常生活を存分に体験しました。最終日の夕食は、一緒に手巻き寿司を作りました。アダムはお寿司が大好きで、様々な種類の”ネタ”を上手に海苔巻きで包んで美味しそうに頬張っていました。
5月は田植えのシーズンです。5年ほど前から毎年田植え体験をさせていただいている羽後町田代地区の小坂圭助さん宅の田んぼで、国際教養大学の留学生3名と田植え体験をさせてもらいました。アダムは、故郷タイでも田植えを経験したことがあるせいか、比較的スムーズに田植えを進め、初めて田植えを体験する国際教養大学の留学生にレクチャーする場面も多く見られました。
そして5月末、4ヶ月間のインターンシップを終え、期間中の活動内容や感じたことなどを発表する時が来ました。アダムが所属している学部の先生たちもはるばる足を運んでくださり、アダムがお世話になった農家さんを一緒に回りました。そして午後、羽後高校の体育館に全校生徒が集まる中、所々で覚えた日本語を使いながらプレゼンテーションを行いました。最後にアダムが高校生に伝えたメッセージは、「外に出て様々なチャレンジをすることをしよう。恐れず飛び出そう」というものでした。まさに自らが外に出てチャレンジしたからこそ言える言葉であり、とても説得力がありました。
今後も、カセサート大学と羽後町の交流は続きます。2018年9月には、新たに数名のカセサート大学生が1ヶ月間ほど羽後町に滞在する予定です。