今後の観光集客は、 様々な連携が必要になる!

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秋田県羽後町新成(にいなり)地区在住 後藤昌太朗氏(写真左)、裕幸氏(写真右)

多肉植物の栽培、販売をおこなう「ゴトウ園芸」を営んでいる。花き農家から趣味として集めていた多肉植物の栽培と販売業へ転身した。ここ2~3年の多肉植物ブームで来園するお客さんが増加し、土日祝日はこの対応に追われる日もあるが、町を訪れるきっかけとなれていることは町内への波及効果も出せるのではないかと考え、案内チラシやパンフレットの配布などもおこなっている。

はじめたきっかけ

元々は花き農家として鉢花を栽培し出荷していたが、この人気が少し下火になった頃、他に何かないかと思案していたのが15年ほど前。この頃、市場研修でフラワーオークションジャパンの視察へ行くことがあり、「面白いカタチの植物があるな」と趣味で集めていた多肉植物に目を付けた。研修から戻り出荷品として市場流通してみたが、多肉植物の価値が低く安価な取引となってしまった。これでは儲からないとインターネットで販売してみると、市場流通と比べ価値や価格の高い取引ができる。「ユーザーと直接つながる販路が必要」と感じ、6年前にネットショップを立ち上げた。

ネットショップを始めたことで海外からも注文がくるようになった。海外では愛好家もたくさんいる多肉植物。特に台湾では愛好家が多く、英文での問い合わせに四苦八苦しながら対応している。

切り花を栽培していたことで多肉植物を育てる設備は揃っていた。おかげで投資は少なく沢山の品種を集め育てることができた。始めた当初は、品種も数も少なく10種類程度だったが本格的に集め出し、現在は交配種も含め9000種ほどを取り扱いしている。しかし、多肉植物は学名上でも1万種以上、属名となると相当数の品種になる。買い求める方々の要望は多種多様なので、まだまだユーザーのニーズには追い付いていない状況。

多肉植物は取り扱いできる商品として育てるまでに時間がかかる。短くて1年、長くなると数年単位、海外から種を仕入れ育てる、葉刺し、挿し木などにて繁殖させているが、海外からの種や親株の仕入れは検疫が厳しい。ワシントン条約の規制もあるため税関で没収され処分されることもある。種や品種の規制だけでなく、砂や土がついていてもダメなので輸出入には気を遣う点が多い。

商品にするまでに時間がかかるものの、秋田の気候は多肉植物の栽培に向いている。多肉植物は熱い国の植物というイメージ強いが、湿度の高い夏場と凍結してしまう可能性のある冬場を除けば最適だと思う。「多肉植物は昼夜の寒暖差がある地域で育てることが良いのでこの点もこの地区で育てる利点」だと言える。

大切にしていること

販売する上で気を付けていることは、購入した人が商品を見てガッカリしないこと。特にネット販売では良い商品に見せようと、映りの良い写真を使いたくなるが、届いた商品が写真で観た状態と違うとトラブルになりかねない。1点1点現物商品の写真を撮影し、写真で観るより良いものを届けたいと取り組んでいる。

ここ何年かは、テレビなどの影響で多肉植物はブームになり、週末になると多肉植物のファンがゴトウ園芸へ訪ねてくる。今年のGWは、数百組以上の来訪者がありこの対応に追われていた。しかし、現状のブームをブームで終わらせないためリピーターを増やしていくことも必要。品種によって育て方が違うので「育て方のポイントを伝える」「地域環境においての育て方」なども伝えている。購入された商品を購入者自身の手で良い状態に保てることが多肉植物の魅力をより感じてくてるのではないかと考えている。

今後の目標

東北エリアで多肉植物を大規模生産しているのはゴトウ園芸だけだと思う。育てるまでに時間がかかるが、在庫数を増やしていくと負担が大きくなる。回転が悪い分この対応は必要だと感じ、数量や品種の拡大に取り組んでいる。

ブームに乗った人の多くが、まずホームセンターなどで購入し、更に魅力にハマった人が珍しい品種を求めてココへやってくる。購入者の多くはまず少額商品を購入していくが、その後は「数量を増やしたい」「高額商品が欲しい」といった流れになっていく。高まるニーズに対応するため生産拡大し、取り扱い品種と数量を増やしていきたい。

最近は、遠方からの来訪者も多くなったので、ゆっくり鑑賞したり話ができるスペースも作っている。また、多肉植物以外に園芸用品など関連商品の販売も模索している。

一時のお金儲けだけを考えると在庫商品を売ることだが、新しい商品を作ることに時間がかかる。特に交配種を販売してしまうと新たに育てることが困難になる。様々な対応を考え進めていきたい。町外からの集客という点では、外貨獲得し貢献できているのではないかと思うが、今まではココを訪れたお客さんに紹介できる町の観光施設が少なかった。昨年、道の駅がオープンするなど観光集客へ向けて様々動き始め、紹介できる場所が増えていることは自分たちにとっても有難い。産直品などが購入できる場所を紹介できるようになったりし、多肉植物を求め訪れた人が羽後町の産品を購入し町を知ってもらうことができる。今後は、パンフレットによる案内で相互に人を流していくなど、観光資源の無い地域でどうやって集客するかを考える必要があり、道の駅や町の商店などとの連携が益々重要なのではないかと思う。

新たに観光施設をつくるのではなく、「町に現存するものの新たな使い方を考え整備し、着飾らず来訪者を迎え入れること」が大切。「連携した体験観光などが集客に繋がる」はず。来訪してくる人のニーズをどのようにとらえていけるかがカギ。

地産地消は良いことだがコレにこだわり過ぎず、広域で考えるともっと良いことができるのではないか。自分たちの商売も一緒で世界中から多種多様の品種を集めることで集客し、来訪した人への販売とネット販売の組み合わせで成り立っている。

売上の割合比率だけだとネット販売が多くを占めるが、一回の購入者が使用する金額ベースだと県外からの来訪者の方が大きい場合もある。農家で市場出荷していた頃と違って、直接お客さんと話ができることはやりがいに繋がり、今は楽しみながら多肉植物を育てている。

 

ライター:崎山健治

2016年5月に大阪市から秋田県羽後町へ移住。

羽後町に関西のノリを広め、秋田と大阪の文化をミックスしたいと考える一方、
地域の問題・課題を事業として解決したいと起業を目指し活動中。
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