2017年2月、2016年度の羽後町DMO活動における総括として、実際に海外から留学生を招待し、羽後町での様々なプログラムを体験して頂きました。この「羽後町留学」に参加したのは、台湾在住のDoraさん(通称:はるちゃん)、タイ在住のAwikaさん(通称:どりーむ)、同じくタイ在住のKanjanaphonさん(通称:あっぷる)の女性3名です。タイからの二人は大学で観光業を学んでいる学生で、台湾のはるちゃんは現在日本に留学を目指して台湾で仕事をしています。3人とも日本に強い興味を持っていて、羽後町に行くことを出発前からとても楽しみにしていました。
羽後町留学の流れ
成田空港に到着した3人は、すぐには羽後町に向かわず、東京に1泊してもらいました。タイの二人は日本を訪れること自体が初めてだったこともあり、見るもの全てに驚いていました。渋谷のハチ公、浅草、ラーメンにお好み焼き。世界中で知られている日本の象徴とも言うべきものたちを存分に体験する一日となりました。そして2日目、真っ赤な新幹線に乗って一路秋田へ!車内で駅弁を楽しみながら、徐々に変わっていく風景にドキドキしている様子。東京駅を出発して約3時間後、到着したのはJR大曲駅。時期は、2月上旬の真冬。彼女たちはホームに積もった雪を見て、キョトンとしていました。彼女たちにとっては雪を見るのも触るのも初めての経験でした。その日は大曲駅付近のホテルに宿泊。翌日からの「留学」に備えました。
そして3日目、昼前に羽後町に到着すると町の皆さんが盛大に出迎えてくれました。道の駅の中にあるカフェ”Bon Cafe”でウェルカムパーティーを開き、副町長からの歓迎のご挨拶や、今回お世話になるホストファミリーとの面会などを行いました。日本をほとんど話せない留学生もいましたが、町の皆さんの温かい出迎えにとても喜んでおり、これからの留学生活をとても楽しみにしている様子でした。
羽後町の滞在先はホームステイです。夜ごはんを一緒に作ったり、お布団の敷き方を学んだり、日本の日常的な生活を体験しました。台湾のはるちゃんがお世話になったご家庭では高校生の娘さんが英語を勉強していて、はるちゃんとは英語で会話する場面も。羽後町にいながら国際交流できる環境は、留学生側だけでなく、地域の方々側にとっても良い経験です。
羽後町留学2日目、留学生3人は山あいにある高瀬小学校を訪問しました。以前にも何度か外国人を受け入れたことのある子供たちは「今日はどこの国の人が来るのー?」とすっかり慣れた様子。留学生たちと日本語、タイ語、中国語、それぞれの国の言葉で自己紹介を教え合いました。
この日の午後は、羽後町の西馬音内(にしもない)地区のソウルフードとも言える「西馬音内そば」作りの授業を行いました。同地区で200年近く前からお蕎麦屋さんを営んでいる「弥助(やすけ)」の6代目店主から直々にそば作りをレクチャーしていただきました。留学当初は必要だった通訳も、この頃にはボディランゲージで積極的にコミュニケーションをとるようになっていました。
留学期間中、彼女たちが特に楽しみにしていた学びが「西馬音内盆踊り」でした。羽後町西馬音内地区で約800年前に誕生したとされ、現在では日本三大盆踊りの一つと言われている伝統的な踊りです。羽後町に来る前から自分たちでこの盆踊りの歴史や踊り方を調べて来るほど、とても待ちわびていたようです。日本の美、そして羽後町の魂を身体で体験しました。
留学期間中最後の夜は、地蔵院という町のお寺に一泊させていただきました。そこで彼女たちは、座禅や写経、精進料理などを体験しました。タイでは仏教が盛んで、日本のお寺の違いなどに大変興味を持ったようです。皆さんの温かい受け入れに、留学生みんな大喜びでした。
5日間の「羽後町留学」を終え、無事に帰国した3人。その後も定期的に連絡を取っており、話の最後に彼女たちから出る言葉はいつも「あー、羽後町に戻りたい!」です。「日本の日常は、世界にとって非日常」、言葉では理解できるけれどもそれを実感できる機会は意外と少ないものです。今後さらに羽後町の日常を世界中の方々に共有できるよう、世界と地域、それぞれに深く入り込んでいきたいと思います。