外国人がやって来た!:Vol.1 PLOY CHERMAN(女優・タイ)

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DSC_500322016年10月、東南アジアの国タイから女優の Ploy Cherman がタイのドキュメンタリー番組の撮影のために、羽後町を訪れました。

彼女は2015年度に、タイ国内の映画で離島の先生役として大変有名になりました。その後、日本国内での撮影場所として小さな学校がある場所を探しており、羽後町の学校やそこで勉強する生徒たちの風景を紹介したところ、とても気に入っていただき、羽後町での撮影が決まりました。

滞在期間中は、西馬音内盆踊りを教わったり、羽後町立高瀬小学校の子どもたちとの交流を楽しみました。 DSC_41532以下は、当日プロイさんと交流をしたある小学生の感想文です。子どもたちにとっても、非常に貴重な体験だったようです。

 

文化のちがいをこえて

「コンニーチワー。」

タイの女優プロイさんが六年教室に登場した。

「きれいな人だねー。」

教室中がざわざわし始めた。

このざわめきの原因は、タイのテレビ番組の取材が高瀬小学校に入り、五、六年生はプロイさんとふれあい活動をする場面を撮影することになったことだった。取材の前の日まで、私たちはかんげいの言葉を練習したり、紹介に使うなまはげの写真を準備したりした。自然にわくわく感がふくらんでいった。

いよいよ当日。ぽかぽか秋晴れの中、プロイさんはなんと黒いダウンのコートをずっと着ていた。いつぬぐのだろうと見ていたが、結局最後までそのままだった。先生に聞いたら、タイは気温の高い国だから、秋田の気温ではコートが手放せなかったようだ。私たちとは大ちがいだ。

教室にプロイさんが登場し、準備していたかんげいの言葉をタイ語で話した。私の用意したなまはげの写真も好評だった。サイコロトークというゲームでは、プロイさんはとても積極的だという印象を受けた。例えば、サイコロの目の数の人が自己紹介をすると、笑顔で聞きその人のほっぺをムニュムニュする。ある人はぎゅっとだきしめられてとまどっていた。私たちがもじもじしていてもプロイさんはとても親しみがあり、なかよくなれそうなふんいきを出していた。日本人とはこんな点もちがうと思った。

給食は一年生と食べるはずだったが、プロイさんは私たち六年生がお気に入りになったようで、急きょこっちで食べることになった。この日のメニューはカレーだったが、プロイさんはずっとカメラ目線で「オイシイ。」と何度も言っていた。女優としておいしそうに食べる演技をしているのだと思った。でも、はしは使わずスプーンだけで食べていたし、ご飯はどっさり残っていたし、カレールーもべったりと皿に残っていた。これも、文化のちがいなのかなあ、きれいに食べればいいのになあと心で思った。

この行事はいい経験になった。タイと日本の文化はこんなにちがうということがわかった。でも、プロイさんとのふれあいはとても楽しく、短い時間でもなかよくなれたと思う。話している言葉は全くわからなかったが、同じ時間を共有すると何となく気持ちが伝わってくる。プロイさんのように、初対面でもきんちょうしないで、ほっぺムニュムニュしたりだきしめたり、笑顔で接したりすることができたら、なかよくなるのも簡単なのだろうか。私は進んで行動することが得意ではないが、プロイさんの女優としての積極性を見習ってみたいと感じた。

私は将来、じゅう医さんになりたいと思っている。女優さんとは全然ちがう仕事だが、だれかを笑顔にするのは同じだと思う。動物や飼い主さんの心を開くために、ほっぺムニュムニュをしてみようかな、言葉は通じなくても、なかよくなりたいという気持ちはそれで伝わるのかなと思う。今回の経験を通して、文化や国はちがっても、そして人間と動物でも、積極的になかよくなろうとする気持ちが大切だということがわかった。恥ずかしがり屋を少しずつ直しながら、夢に近づけるようにがんばってみたいと今は思う。

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