私の名前はアランです。2015年の秋から半年間、国際教養大学に留学していました。秋田での経験が忘れられず、一度はオランダに戻ったものの、すぐに秋田に帰ってきました。なぜ秋田なのか?それは、日本の生活文化を五感で思う存分感じることができる場所だと感じたからです。日本に来る外国人は、テクノロジーやポップカルチャー、私も好きなアニメなどに興味があると思われがちです。決して間違いではありませんが、日本に住み慣れると、次第にそれだけでは満足できなくなります。”もっともっと、日本の生活に入り込みたい”、そんな欲求を満たしてくれたのが「羽後町留学」でした。
羽後町に滞在する中で、私はたくさんの”Shisho(師匠)”に出会いました。全国的にも有名な西馬音内盆踊り、藍染体験、そば打ち、どれも一見するととてもシンプルで、『私にもすぐにできそう!』と思っていました。しかし、いざやってみると全くできませんでした。師匠たちの動きや作品はとても美しく、私のそれとは何かが違いました。気づいたら私は、師匠たちの一挙手一投足を食い入るように見ていました。日本の社会では、先輩の動きを真似ることが重要だとよく聞いていましたが、まさに師匠の動きは言葉では説明できないもの。まずは真似をして、そこから学びとることが必要なんだとわかりました。
羽後町留学初日は、会話の部分でとても不安がありました。私はまだまだ日本語が上手ではないので、どうやってコミュニケーションを取れば良いかわかりませんでした。けれども、羽後町の皆さんは私の言っていることを理解しようと努めてくれました。そしてゆっくり、そして何度も丁寧な日本語で話してくれました。
農家さんとのお仕事で一番楽しかったのは、「一緒に働く」ということでした。異国で生活すると、その国の人たちとの間に壁を感じることが少なくありません。しかし、羽後町での滞在中はみんなが家族のように接してくれ、毎日がとても幸せでした。朝起きて外へ出ると、美しい田園風景と気持ちの良い風が迎えてくれます。
そこには知っている人がいて、私を呼んでいる。
私は日本人だ!