【DMOって何?:②既存の観光事業の弱点】

Pocket

こんばんは、トラベルデザインの須﨑です。
前回はなぜ地域で観光業が盛り上がってきたのかを書きました。
地域は交流人口を求めて観光業に参入し、様々な施策を実施しています。
しかし、なかなか成果が出ていないのが現状です。

その理由はどこにあるのでしょうか?
秋田県の外国人観光客を例にご説明します。

【秋田県に来る外国人観光客数】
秋田県では毎年、夏の終わり頃に前年度の観光統計が発表されます。
下記は、ここ5年間の外国人宿泊者数(従業員10名以上の施設のみ換算)です。
cd5121570a2bb07c97e846389ab7dc08 (1)ここ数年で、秋田に最も多くの外国人が訪れた年は2010年でした。秋田の皆さんはご承知の通り、「アイリスブーム」が起こった年です。しかしその後、震災とアイリスブームが終焉したことでお客様は激減しました。

このグラフを見てそんな、「まずは2010年頃の水準まで戻すべき」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし実際は、単純に宿泊者数だけ追っただけでは決して観光は盛り上がりません。

【お金が落ちなかったアイリス観光?】
アイリスブームが起こった当時、仙北市の宿の単価はかなり下がりました。あるホテルでは平均定価9,000/泊のところ、半分の4,500/泊まで下がったそうです。また、今のようにバスの料金に規定がなかったので、県内のバス会社には1日貸切で30,000円と提示されたこともあったようです。(通常の相場の半額以下)

なぜそれほど単価が下がったのか?
それは、アイリス観光を主導していたのがマーケット側の旅行会社であったことが大きく関係しています。

ドラマの影響で、韓国人の方の方はもちろん、アジアの周辺諸国の方々が秋田という地を知りました。
そこで各国の旅行会社はツアーを組み、秋田周遊ツアーを企画しました。
ただ、地域の旅行会社が関わりを持つことはありませんでした。なぜなら必要がなかったからです。

ツアーの内容は、田沢湖、角館、温泉、スキー場などドラマの撮影地を周るバスツアーです。各国の旅行会社が自ら企画し、引率、案内まで実施できました。お客様の数が増加する中で、各国の旅行会社は利益アップの為に単価を下げる努力をしました。結果的に、地域に落ちるお金は自ずと減っていきました。そして、アイリスブームの終焉と共にお客様の数は減っていきました。

【既存の観光事業の弱点】
アイリス観光事業のシステムは特異な例ではなく、既存の観光事業の一般的な事例です。何かをきっかけにして、マーケットが反応する地域へのツアー造成がなされ、大量にお客様を派遣する旅行は各地で見られます。しかし、これでは地域が目指す安定した交流人口増加には繋がらない弱点があります。

①価格競争に追い込まれる
上記のように大量派遣型観光ではマーケット側の競争が激化し、どうしても地域に落ちるお金が減っていきます。

②ブームはいつか終焉する
秋田に韓国人が来たのはアイリスというドラマの影響です。日本人にとってのヨン様ブーム同様、いずれブームは去っていきます。

③地域に攻めの姿勢がない
既存の観光事業では地域は全てをマーケット側に頼っていました。何もしなくてもマーケット側が施策を実施してくれるので、それを待っていれば良かったのです。

マーケット主体の観光モデルによって一番の課題は地域の主体性です。
これまで以上にお客様を求めるならば、マーケット側に頼るだけでなく、自らマーケットへ攻めていく体制が求められているのです。

次回は実際に観光事業を実施する際の、ステップを共有させていただきます。

Pocket